フリーゲーム『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想色々 その肆
こんばんわ。
またまた「BLUE☆STAR」様制作『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想です。
ついに四回目って多いな……。しかもまだまだ終わらない予定です。
ともあれ、よろしくお願いします!
※ネタバレ配慮なし。プレイしてからお願いします!
※プレイの推奨年齢は15歳以上。
え~、まずは『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想リンク集から~。
で、できればよんでほしいな~。チラッ?
では、今回は「魔女信者」について、書いていきたいと思います~。
よろしくお願いしま~す。
ということで、一回目「普通の人」。二回目と三回目「不老不死」と「兵器」。
今回で「魔女信者」であるが、過去記事で書かせていただいている通り、彼はこの「物語」において精神力強者である。
最初に彼が登場した場面では、「うわ、コイツ面倒くさそう」と思った人もそれなりにいるのでは? と考える。
しかし彼は唯一この「物語」で「超常的なものに願いをかけない」存在である。
「時間を戻すこともできるかもしれない」
彼は昔の楽しい時に戻れるかもしれない、と一瞬夢想する。しかし、それを実行することはない。それどころか、殺されることが分かっているのにもかかわらず、圧倒的に上位の立場から啖呵を切るのである。
あの瞬間の勝者は誰であるかと聞かれたのなら、個人的には「魔女信者」と答えよう。そして、圧倒的敗者が「普通の人」である、とも。
基本的に彼は物事をドライにとらえている。
「生きていくのなら、だれかとの幸せの奪い合いは避けられない」
このような考えの持ち主である。
さらに彼は「自分を基本的に優先する」と答えたものの、
「相手の損害が小指をぶつける程度ならともかく、骨折なら考えてしまう」
とも言っている。
「普通の人」の場合、物理的に相手の命を奪うことにためらいがないため、「魔女信者」のこの基準が根本的に当てはまらない相手である。
「小指をぶつける」程度のこと、「骨折」。この違いをどのようにとらえるか。そこに彼らの違いがおそらくある。
「普通の人」の場合、この二つに差などない。自分の思うとおりに行動できるか否か、でしかないからだ。いちいち相手の都合を考えて行動したりはしない。
しかし、「魔女信者」は己の言葉通りに行動して見せた。
「魔女信者」の言葉を聞いた「不老不死」は、その言葉と行動、そして放たれた啖呵に対して考え込み、行動を一変させる。
極限まで追い詰められた人間の行動を真逆に変えることができる人間がどれだけいるだろうか?
あの瞬間、彼はまさしく彼が尊敬してやまない「魔女の祖母」と対等に並ぶにふさわしい器を現した、と言える。
どんどん狂っていく世界の中、彼はどこまでも正常であり続けた。そして、だからこそ常に殺される側である。
狂った世界の中で、正常でい続けるのは自殺行為に他ならない。
そしてその中で勝ち続けるのは、狂うことをいとわないモノである。
「魔女信者」と「普通の人」の関係は、まさにこれである。
「普通の人」は言う。躊躇したら負ける。
躊躇する、とはつまり「正常でい続ける」ことである。彼は正常であることを放棄する。常に放棄し続ける。
「たった数日一緒にいただけの人間を殺すこともできないなんて」
正常な人間の言葉ではあるまい。「普通の人」は自分の異常性を自覚しながらも、それを正当なものとして受け入れている。
「魔女信者」は狂うことを放棄する。常に放棄し続ける。
「魔女信者」は自身に対し、「魔女の祖母」を裏切るような真似をすることを許さない。
これもまた「普通の人」とは対照的である。彼は正常であることを放棄し、それを正当なものとしている時点で、大切なはずのモノすべてを裏切り続けているのだから。
「魔女信者」はいつ「魔女の祖母」に会っても胸を張れるだろう。
「普通の人」は昔のように暮らす、などということから遠くに離れた位置に立っている。昔のように「医者を目指す」などということをできると思っているのかどうか。
「願い」が叶ったとして、昔のようにありたいと望むなら、昔と同じように「誰かを助けるために医者を目指す」つもりなのか、正直気になるところである。
「魔女信者」が「誰かを殺して願いを叶えても、価値はない」と言い放った真意は何であろうか。そしてその言葉を受けて「普通の人」が「魔女信者」を殺した、その行動の意味は何か。
「誰かを殺してでも叶えたい願いはあるか」
この問いに対する、一つの答えが示されている場面である。
さて、確かに彼が「魔女」を殺す場合もあったが、意図的にそうしようとしたことは、恐らく一度もないだろう。「魔女」殺しは狂ったゆえのことでは決してない。
この「魔女殺し」に関して言えることは、基本的に彼は「自己防衛の意志」がきちんとある、ということだ。過去のことで自暴自棄になっているわけではなく、結構前向きに生きているのではないだろうか。
「化け物(?)」は「魔女信者」は屋敷がなくなったらどうなるか、と心配していたが、なくなったらなくなったで散々喚いた後、案外すぐに切り替えることができる気がする。
過去、「魔女の祖母」は屋敷を捨て、「魔女信者」と逃げるという選択をしている。残念なことに間に合わなかったが、その選択の意味を、「魔女信者」は理解しているはずである。
仮に何もなくなったとしても、いや、この仮定ではなくなったからこそ、故人を偲びながらもっと前向きに生きていけるのではないだろうか。少なくとも、面白半分で「魔女の祖母」のうわさをする輩を目にする機会も減るだろう。彼がそれに関するうわさを耳にせざるを得なかったのは、あの屋敷にい続けたからだ。屋敷を守るという意思があっただろうが、同時に屋敷に縛られてもいたのではないだろうか。
人間、ずっと同じことばかり話してはいない。少し離れた場所に行けば、まったく違うことが話されているだろう。
基本的に彼はため込まないたちだ。だからため込んでいる状況は根本的に彼には合わないのである。ある程度その場で発散して終われるタイプではないだろうか。
勉強が好きで考えること自体は苦にならないタイプのようだが、「考え込む」のは嫌いなのだろう。勉学での思考と感情的に「考え込む」ことは全く違う。だからたいていそういう状況になったら「考え込む」こと自体を放棄する。
この場合の「考え込む」とは、「魔女」や「魔女の祖母」のことを考えてイライラしたりウツウツしている状況や、それに近い感情の時を指しているつもりである。
屋敷がなくなってうろたえるのは「化け物(?)」の方だろう。彼もまたこの屋敷での思い出が大切なはずだ。それを「魔女信者」に転換しているに過ぎない。
「魔女信者」は「化け物(?)」が思っているよりもずっとタフである。
個人的に「魔女信者」を持ち上げてしまっている気もするが、普段の言動はともかく、彼の根本的な生きざまにおいて彼と対等に並ぶことができるのは、それこそ「魔女」くらいだろう。
とは言え、何かあった時に及び腰になったり、俗にいうところのヘタレであることは確かではある。女性に対して言ってはいけないことも言っている。「魔女」はよく殴らなかったものである。相手が「魔女の祖母」なら、恐らくタダで済んではいまい。「魔女の母」も同じくである。
「魔女信者」に自覚はないだろうが、「魔女」に対してはかなり甘えている部分がある。「魔女」もたいていその甘えを許すので、この二人の関係は基本的にこのままである。
まあ、甘えすぎている場合もあるのだが、その場合はさすがの「魔女」も普段から考えると過激になるので、割とバランスの取れた関係でもある。
まず無理だろうが、屋敷を出る際には「魔女」がいるといいかもしれない。立ち直りも早くなるだろうし、一人でカラぶることも減るだろう。
まあ、無理だとは思うが。
彼女たち一族のためにまっとうに祈ってくれる誰かが、一人くらいいてもいいだろう。それができるのは、現状「魔女信者」のみである。
という感じで、今回は終わりたいと思います~。
お疲れ様でした~。