人生雑論ノート

その日その時なんとなく思ったことを書き散らすだけの、偏屈ド変人の思考垂れ流しブログ。

フリーゲーム『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想色々 その伍

 こんばんわ。

 「BLUE☆STAR」様制作『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想です。

 五回目の大台に来ましたが、まだまだです。語ってない人いますので……。

 ……よろしくお願いします!

※ネタバレ配慮なし。プレイしてからお願いします!

※プレイの推奨年齢は15歳以上。

 『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想リンク集!

zaturon.hatenablog.jp

 

 注意!

 私『ボーナスステージ』での「気まぐれBAR」イベントはまだ見ておりません。

 プレイ開始時、「気まぐれBAR」イベント発見するも、「あ、これまだアカンやつや」と考えスルー。

 以後、見つけてもスルー。そのままクリア。

 その後、「てるふぉん」様の『奈落の華』や、「SilfeedArks」様の鳥RPG『Notitle』をプレイする。現在鳥RPG二週目。

 「あ! そういえば「気まぐれBAR」イベ忘れてた!」今ココ

 という感じです。案外重要イベントかもしれませんが、またやった時にでもそれについて書かせていただくかもしれません。

 現時点では「気まぐれBAR」を見ておりませんので、それを前提にしてお読みください。

 

 さて、今回は「化け物(?)」について、書かせていただく。

 この記事において、「化け物(?)」についてはかなり辛口となると思われるので、ご了承願いたい。

 しかし、私は「化け物(?)」が嫌いかと聞かれれば「好きだ」と答える。これに関してもご記憶願いたい。

 

「君を助けたいのに、どうして君を殺さないといけないんだ」

 「化け物(?)」の言葉であるが、これに関する私の答えは一言である。

「あんたが繰り返し続けるからだろ」

 人によっては「なんてひどいことを言うんだ! この人でなし!」と考えるだろうが、これが私個人の考えである。

 

 この繰り返しの前提は、「魔女」が「心」目当てに殺されたという事実である。

 それを受け入れられない、なかったことにしたい。それ自体は当然のことだと考えるし、その時に彼のとった行動自体理解できる。

 この繰り返しは『ボーナスステージ』で9,999回目。次で10,000回目である。

 一回目はことの発端、「普通の人」が一夜にして「心」のために「魔女」を殺したことから、次で10,000回目。

 さて、何年分になるだろうか?

 一年は365日である。まず、単純に10,000日で考えてみる。端数などは切り捨てたり、四捨五入したりして処理させていただく。

 10,000日の場合、おおよそ27年程度。

 繰り返しの平均が2日で考えると、20,000日でおおよそ54年から55年ほど。

 平均3日だと、30,000日でざっと82年程度。

 平均4日なら、109年から110年の間くらいか。

 個人的に平均して4日は多すぎかもしれないと考えているので、平均3日で考えてみる。その場合でも80年は経っている。

 もっと短いと考えても、なかなかの年数ではないだろうか。これほどの期間、あの屋敷ではあの悲劇が繰り返され続けている。

 

 「魔女」は9,999回死んだ。そのうちの大半は「普通の人」によって殺され、次点で多いのは「不老不死」。「魔女信者」もこの二人ほど多くはないが、手にかけてしまっている。それ以外の要素もあるが、それでも「人間」に殺されていることのなんと多いことか。

 しかも、9,999回目は自殺である。その時の心境がどうであれ、どのような状況であれ、「自ら死を選ぶ」という事態にまでなった。

 これはなぜか? と考えた際、私は「化け物(?)」が繰り返すからだ、と考えたのである。

 かなり厳しいことを言わせていただくが、「助けたい」など片腹痛い、と考えてしまうのである。そのための努力をしているようにはとても見えないからだ。このあたりのことはゲーム内でとある悪魔からしっかり指摘されている。

 では、この悪魔のことは「バラ」と呼ばせていただく。

 「バラ」は「化け物(?)」に対して何度も選択を迫っている。また、本気で助けるつもりなのか、と厳しく叱責もしている。

 このあたりは私も見ていて思ったことだ。助けるための努力をしているようには見えないのである。

 まず、「化け物(?)」には「夜しか屋敷で活動できない」というハンデがある、ということにしておく。これに対し、守る対象も、それに危害を加える可能性がある者たちも、いつだって自由に行動できる。

 「化け物(?)」が身動きが取れないであろう間に、「物語」は進んでいく。知らない間に致命的なことが起こる。これにいかに対処していくか、が「化け物(?)」が目的を達成するためのカギとなる。

 しかし、そのために何かをしたのか、というと、特にしていないのである。

 『屋敷の謎と幻想世界』においてようやく積極的に動きはしたが、それでもぬるかった。「バラ」は「お前にしては上出来」と言ってはいたが、相手がなりふり構わぬ行動をとるほど、彼の行動は踏みつぶされる。

 「魔女」はいつでも誰かのために考え、寄り添う。

 「魔女信者」は絶対的な思考行動の尺度を持ち、決してそれから外れない。

 「不老不死」は己の欲求と命の重みで揺れ、最終的には良くも悪くも腹を決める。

 「普通の人」は己の目的のためだけに進み、躊躇しない。

 「化け物(?)」は、優先すべき何かだけを見据えることができず、何も選ばず、そしてすべてを取りこぼす。

 己にとって大事な何かのために行動し、そのためなら命をも自ら投げ捨てる者すらいる中、「化け物(?)」はそれを成しえない。

 

 「バラ」は「魔女」を助けるために出来ることをやれ、と言う。それによって、「魔女信者」が今住むこの屋敷がなくなっても、と。

 この屋敷がなくなったら、「魔女信者」はどうなる? と「化け物(?)」は悩む。

 この場合、非情なことを言うのなら「魔女」か「魔女信者」か、という問題になる。「化け物(?)」が繰り返す手段を考えた場合、目的が達成されれば屋敷はどのみちなくなる。最初に行動した際にはそのあたりに思い至らなかったとしても、繰り返す中でそれを考えなかったわけではあるまい。それでも繰り返すということは、「屋敷がなくなる」ことを「化け物(?)」自身が受け入れていることになる。

 にもかかわらず、「屋敷がなくなるのに「魔女信者」に自分を手伝わせるなんて」ということを言っている。

 しかし現状、彼が助けを求めることができるのは「魔女信者」しかおらず、彼に協力を頼まざるを得ない。さらに言うなら、「魔女信者」は屋敷がなくなったら生きてはいけない人間だ、と決めつけていることにもなる。

 

 そうやって、何度も何度も助けたいと願っているはずの「魔女」を殺され続けることになる。そして、「今度こそ」と「心」によってまた「物語」が始まり、そのたびに「魔女」は殺されることになる。

 

 この繰り返しにはルールがある。そのルールに対して「魔女」は「なんなんだそのルールは!?」と叫ぶ。当然だ。ふざけている。何度も殺された身であるからこそ、そこ叫びは一層悲痛だ。

 この繰り返しは、「魔女」の命そのものをあまりにも軽く扱っている。人間死ぬのは一度きりだ。にもかかわらず、「魔女」は9,999回も死んだ。

 人間、殺されることがあるとすれば、それは一度きりだ。しかし「魔女」は何度も誰かに殺される。

 「魔女」の命は誰のものだ? 当然、「魔女」自身のモノである。

 一回目で殺された際、「魔女」の命は間違いなく「魔女」自身のモノだった。誰かに殺されようと利用されようと、自分自身の命である。

 しかし、繰り返しが始まった際、「魔女」の命は「魔女」のモノではなくなった。

 「バラ」は「お前、死ねなくなるかもね」と言っているが、現時点ですでに死ぬことができていない。この繰り返しが、「魔女」に死ぬことを許していない。つまり、「魔女」の命は「魔女」の手からこの時点で離れたのだ。

 そして、殺人者たちは何度もその手を血で染める。何度も一人を殺め続ける。「魔女信者」すら、殺人の罪を負うに至った。

 一人の人間を殺め続けるということは、どういったことになるのか。繰り返すことで、その罪はなくなるのか。殺された命と、殺した罪は、繰り返しが起きた際どこへ行くのか。消滅するのか。積み重なっていくのか。

 「助けたい」という言葉に対して、「片腹痛い」と考える、その根本がこれである。

 繰り返し続けることこそが、繰り返し続けたことこそが、「魔女」に対する侮辱である。そして、命そのものに対する侮辱でもある。

 「化け物(?)」がこのことを理解したうえで、それでもなお割り切って繰り返しているのなら、納得はできないが理解はできる。繰り返しの中で試行錯誤し、命を投げ捨てながらも目的に向かって、たとえわずかでも進んでいるのなら、である。

 その様子が見られないのである。また、自分自身が一番命を軽く扱ってしまっている、という自覚も恐らくあるまい。

 

 彼が繰り返すために使用している「心」は「魔女の祖母」のものだ。「助けて」という彼女の言葉を受け、「心」を誰にも渡さないようにした。そして、「使わない」とそれを握りしめた。

 今、その「心」で何をしているのか、ということになる。「魔女の祖母」はそれをどう思っているだろうか。

 「魔女」の記憶を消したのも、「魔女信者」と逃げようとしたのも、大切なモノを守るためだったはずだ。

 「魔女の祖母」が守ろうとしたモノを、「魔女の祖母」の「心」で、引き裂き続けているのは誰だろうか?

 「助けたい」という彼の叫びは真実だろう。その意思もあるのだろう。しかし行動がないのである。

 それによって、本来殺人の罪を負うはずのない「魔女信者」や「不老不死」は殺人を犯すに至った。「魔女」は殺され続ける。

 「魔女の祖母」の願いを知るのなら、「化け物(?)」は「心」を使うべきではなかったのだ。たとえ「魔女の祖母」が守りたかった「魔女」が死んでしまったとしても。

 「死にそうだから助ける」ならまだよかった。「死んだからやり直したい」ではだめなのだ。

 無論、理想なのはいかなる場合でも「心」を使わないことである。「使わない!」と言い切った以上、その悲劇を知る以上、「魔女の祖母」の意志を知る以上、何事があっても使うべきではなかった。

 「魔女の祖母」をよく知る「魔女信者」はそれを否定した。それが答えだ。 

 

 では、別の視点から「化け物(?)」を見てみる。

 とある「ヘイター」は言った。

「ココは地獄だ。自分が作った地獄だ」

 彼女にとっては非常に残念だが、それは違う。この地獄を作り上げたのは「化け物(?)」である。彼女がやったのはお膳立てにすぎない。

 なるほど彼女なりに苦心し工夫しやり遂げたことなのであろう。自分が作ったと思うだろうし、そのために今まで彼女なりに労を惜しまず準備を続けたのだろう。

 だが違う。もう一度言うが、この地獄を作り上げたのは「化け物(?)」であって彼女ではない。

 彼女は「堕ちてきてよ」と言う。自分のいるところまで来い、と。しかし、彼女は理解できていないようだ。彼女と「化け物(?)」では器が違う。

 「化け物(?)」は先ほど述べたように、目的のために選ぶことができず他のモノも含めてすべて取りこぼしてきた。優柔不断だといわれても仕方がない行動ではある。

 しかし、それでも10,000回も続けられるだろうか? 悪魔たちは「しつこい」と言っていたが、そういう問題でもない。

 「化け物(?)」の父親「町長」は「魔女の祖母」に「お前、狂っているな」と断じられた。目的のために手段を選ばず、自分とパートナー以外はいらないと言い放ち、すべてを消してしまおうとしていた男である。

 この男を狂っていると断じたのは間違いではないだろう。しかし、ただ狂っていただけだろうか?

 根本が違う、ということだと私は考える。回路が「狂っている」のではない。回路「自体が違う」のだ。

 『Witch's Heart』において、人間でありながらある意味悪魔をも凌駕した存在は、間違いなく「町長」だろう。彼女はこの領域まで行っているだろうか?

 私個人の考えでは、彼女はこの領域に到達していないし、この先到達することもないだろう。彼女は『Witch's heart』において強い印象を与えてくる存在であるが、実際のところ、さして強者ではない。

 しかし、「化け物(?)」はこの領域にまで、ある意味到達しているのではないだろうか。根本が違うのだ。

 やり直し9,999回目にして、彼は「みんな優しい」と言い切った。殺すのをためらった。これだけの回数、膨大な時間の中、その記憶によって完全に潰されることなく彼自身の意識を保ち続けた。

 

 「町長」は、人間だった。しかし、間違いなく精神的には「化け物」だった。

 「化け物(?)」も恐らくそうだ。しかし、「町長」とは全く違った方向性で、である。

 「魔女」は自分が殺され続けている事実を知っても、寄り添うことを決めた。しかし、彼女は実際に殺された記憶はない。

 ルールによれば「化け物(?)」は「死因に関する記憶」だけはなくすが、他の記憶はなくしていないということだ。延々と繰り返し続ける「物語」の、悲惨で無残で、それでいて同じ始まりで終わりの記憶を、一人で抱え続けている。

 はっきり言うが私はとてもではないが正気を保つことは不可能である。これを9,999回も続けて、『ボーナスステージ』における「化け物(?)」のような状況になるだけで済むとは思えない。この回数に来る前に壊れるだろう。

 記憶のない「魔女信者」も「疲れた」ということを言っている。記憶がなくても影響は受けているようだ。記憶がある「化け物(?)」の負担は想像できる範囲をはるかに超える。

 この状況においてなお己自身を保てる「化け物(?)」と、「墜ちてきてよ」と言った彼女の器は同じだろうか?

 私は以前の記事で「普通の人」は一番精神的に弱いと書いた。悪魔側では彼女がそうである。そして「普通の人」と同様に自覚はあるまい。

 ゆえに、「化け物(?)」が彼女のもとまで堕ちてくることはない。仮にそのような形になったとして、それは本当に形だけとなろう。そしてまた、彼女はそれにも気づくことはない。「兵器」あたりは気づく可能性があるが。

 

 「化け物(?)」は壊れているわけではないし、狂っているわけでもない。弱ってはいるのだろうが、それだけでしかない。

 彼が彼を手放すときは来ない。「町長」はそうだった。彼もまたそうである。

 

 というところで、今回の感想は終わります~。

 お疲れ様でした~。

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