人生雑論ノート

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フリーゲーム『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想色々 その弐

 こんばんわ。

 今回も「BLUE☆STAR」様制作『Witch's Heart(ウィッチズハート)』について書かせて頂こうかと思います~。

※ネタバレ配慮なし。プレイしてからお願いします!

※プレイの推奨年齢は15歳以上

 

  『Witch's Heart(ウィッチズハート)』感想リンク~。

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 では今回は「不老不死」について書かせていただきます。

 と、言いたいところですが。

 ……この人、個人的に書きにくいんですよね~。というわけで、「その壱」で「悪魔に関しては後に回す」と書かせていただきましたが、悪魔組のうちの一人もここでは書かせていただきます。

 ようするに、比較しながら書かせていただこうかと考えてます。よろしく~。

 

 ではまず、どの悪魔について書くかですが、生前に兵器として扱われ、死後もしっかり兵器として使用された経歴を持つ「ヘイター」でいってみようと思います。

 呼び名も「兵器」で。

 なぜ「不老不死」と「兵器」を比較しながらなのかというと、個人的にこの二人とっても似ていると考えているからです。

 ちなみに「その壱」では「普通の人」と「もう一人のヘイター」が似ていると書きましたが、「心」を狙う二人が「ヘイター」とそれぞれ似ているところがあるというのも面白いですね~。

 や、私が勝手に考えているだけですが。

 

 さて、「不老不死」と「兵器」の過去だが、かなり共通点があるように思える。

 二人とも実の親がおらず、孤児であったところを拾われている。また、二人とも育ての親を「愛している」。

 また「不老不死」と「兵器」はともに育ての親に「歳をとらないように」されている。

 無論、はっきりとした違いもある。「不老不死」は育ての親がしっかりと愛情をもって育て、利用することに対して罪悪感を持っていた。それに対し、「兵器」の方は道具として利用されていただけで、あっさりと捨てられている。

 基本的に、「不老不死」も「兵器」も育ての親のための「贄」という立場である。そこに「愛情」が育ての親の方にあったか否かという違いがあり、この二人の人生観を別のものにしている。

 

 またこの二人、精神的には老衰した状態となっており、比較的おとなしめといえる。表情の変化も他と比べると少なめで、基本的に茫洋とした表情が多い。特に「兵器」はつかみどころがないと考える人も多いだろう。

 基本的に人間は長生きといってもせいぜい100年程度である。しかしこの二人は数百年以上存在している。「ヘイター」はすでに死んではいるが、状況的には不老不死の存在ともいえる。「不老不死」は生きることに対して疲れていることが作中で明示されているが、「兵器」もそうなのではないだろうか?

 「ヘイター」という存在は存在するだけで苦しい。負の感情を維持するために毎日「死」の再現をされる。焼死したものは焼かれる、病死したものはその苦しみを繰り返す。毎日。

 当然精神的に疲弊するだろう。恨み憎しみを無理やり維持され続けるうえ、肉体的にも毎日痛めつけられるのだから。「ヘイター」はまさに不老不死であり、包丁で首を思い切り切り付けても死んだりはしないのである。しかし、痛みはある。

 「不老不死」はそこまでひどくはないが、不老不死の存在など基本的に己一人しかおらず、周りの人間は老いて死んでいく。自分一人、いつも変わらず周りだけが変わっていく。基本的に人間はそれほど長生きするような構造をしていない。「ヘイター」のような物理的な恐怖はほぼないだろうが、彼の疲弊具合を見るに精神的には相当こたえているようではある。

 

 この二人の立ち位置は似ている部分もあるが、真逆といえる部分もある。

 「兵器」は軍人であり、戦争においてかなりの戦果を挙げていた。「不老不死」は花を扱うのを生業としており、職業だけで考えると荒事からは遠い。

 無論、「不老不死」本人が荒事が苦手か否かということには関係がない。旅をしていたようなので、荒事に巻き込まれることもあった可能性はある。しかし、上記したように自ら誰かを殺しに行くことはする必要もない。

 育ての親の違いにより、この二人の倫理観に決定的な違いができている。

 作中、「兵器」は平然と「魔女」を殺しにかかり、「不老不死」はためらう場面が出てくる。自分のことを恨んでもよい、ということを言ってもいるが、これは本心だろう。「恨んでもよい」というよりは「恨んでほしい」と言っているようにも見える。

 誰かを殺すことにためらいを覚える倫理観を持っているのである。

 

 ゲームをした人なら、ここで意地の悪い顔で「魔女の末裔」と言い放った「不老不死」を思い出すかもしれない。これに関しても個人的に考えていることはある。

 「恨んでもよい」といった時と「魔女の末裔」と言い放ったときとでは、明らかな違いがある。

 いうなれば、「覚悟を固める」時間である。「不老不死」が「思い至った」まさにその時に横に「魔女」がいたか、いなかったかである。

 かなりの悪人面で「魔女信者」を殺してもいる「不老不死」だが、わざわざあのような顔を見せるようなことをする必要もないはずである。では、なぜ「魔女信者」を殺すときにあのような顔をしたのか。

 答えとしては、「恨んでほしい」からではないかと考えている。あるいは、そうやって無理やり自分を鼓舞しているのかもしれない。わざわざ「魔女」に対して「魔女の末裔」と言い放ったのも、「理不尽な殺人者」を演じようとした結果だと解釈している。

 そうやって自らを鼓舞し、時間をかけて覚悟を決めなければ「人殺し」などできないわけである。そして、根本的には時間をかけて覚悟を決めたところで「人殺し」など出来ないのが当たり前なのだ。それだけ「死にたい」という気持ちが強いということでもあるのだろう。「殺してでも死にたい」のである。

 しかし、結局「不老不死」はチャンスを自ら棒に振り、「魔女」を守る決断もしている。「殺す」ということに対してのためらいと、「魔女信者」の啖呵が効いたのだろう。すぐそばにいた「普通の人」は何を言われようとも積極的に殺しに行くのは変わらないので、同じ「殺人者」でもこの二人は対極にある。

 そして、軍人としての任に就き、育ての親のために血にまみれながら笑顔で人殺しをする「兵器」は別次元である。そのように教育されているのだから当たり前なのだ。

 育ての親を憎み地獄に落ちるに至っても、その教育によって育まれ固められた価値観自体は変わるはずもない。「兵器」は死んでも兵器なのだ。だからこそ「ヘイター」になったのだろうともいえる。

 その点、「不老不死」は基本的に「ヘイター」の素養がある人物ではないだろう。負の感情がなくても「ヘイター」になることはあるらしいが、そういった特例でもない限り普通に死ぬと思われる。

 ちなみに、「普通の人」に関しては現時点で死んだ場合、高確率で「ヘイター」になると考えている。「もう一人のヘイター」とは同族嫌悪のような状態になるのではないだろうか。

 

 しかし、「兵器」が兵器であろうが、存在し続けることに対する苦痛はどうしようもないのではないだろうか。毎日あの病気で苦しむなど、本意ではないはずだ。

 だから、死にたい、消えたい、と思っているのではないかと考えたのである。

 「もう一人のヘイター」はその痛みをそのまま憎しへと変換し、 自らの「ヘイター」としての存在意義を強化していっているようにも思える。「兵器」も嬉々として悪行を成しているように見えるが、「自分から自発的に」という雰囲気ではなく、「付き合ってあげている」ようにも見える。

 とはいえ、根本的に一般的な人間からすればありえない精神構造をしているのは確かなので、そういったこと自体が楽しいというのは変わりないかもしれない。育ちが育ちなので常識的な判断をしてもあまりあてにならないだろう。

 だが、「死にたい」と「ヒトの苦しみが楽しい」は両立するので特に問題もない。

 

 あと、「不老不死」がメインの物語に現れる「化け物ポポス」という存在が気にもなる。美しい星空の幻想空間に立ち、万華鏡を渡してくる存在である。

 恐らくだが「不老不死」の育ての親ではないかと考えている。

「周りなんて見えなくてもよい。見たくないものもあるだろう」

 この言葉は、自分は一切変わらず、周りだけが変わっていくことに対する言葉ではないかと考える。自らの経験を語っているのではないだろうか。

 無論、その時一緒に行動していた「普通の人」に対してである可能性もあるが、「不老不死」がメインの物語の時に現れ、以降一切見ることもない存在であることを考えると、「不老不死」に対して、と考えるのが自然であるように感じる。

 また、「不老不死」が育ての親と最後に話をした夜のイメージが、この幻想空間かもしれない。

 「不老不死」の育ての親は、名前が明らかにされていない。「ポポス」という名前であってもおかしくはないのである。 

 この考えが当たっているのなら、特に人を恨んでいるようにも見えなかった彼がどうやら「ヘイター」になってしまっているらしい、ということになる。負の感情がなくても「ヘイター」になる可能性はあるようなので、「化け物ポポス」もその一例かもしれない。

 この「物語」の悪魔、化け物たちは負の感情がないが「ヘイター」になった者たちがそれなりに登場しているような気もする。そう考えると、「不老不死」が「ヘイター」になる可能性はそれなりにあるのかもしれない。

 

 個人的にではあるが、「不老不死」と「兵器」の一番の共通点は「死にたい」「消えたい」と思っていることではないか? と考えるのである。

 そしてその原因が「育ての親にあること」も。

 この二人に関してはまだまだ書きたいことがあるが、それに関しては次回にさせていただく。

 

 というわけで、今回はここまで。

 お疲れ様でした~。 

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